皿洗いについて
”皿洗いは面倒”
ぼくの勤めている会社では、毎朝役回りで一人が小話をする決まりになっている。
転職したばかりの頃は面倒なように思えたが、実際に半年勤めた結果、各人が思いおもいに世の中の役に立ちそうな事柄をプレゼンテーションするのを聞くのはとても楽しいと思っている。
結婚をしたばかりの先輩(男性)の話で印象に残っているものがある。
題目は「皿洗いのモチベーションについて」。
概要としては、
「手を動かす作業は実のところ脳にとても良いことが研究で判明しており、それを考えると普段の面倒な雑事である洗い物も意味のあるものとなり、それが家事へのモチベーションとなる」
という話である。
ちなみにこの先輩社員とは結構仲が良いのだが、1人暮らしの頃からかなり自炊していて、なおかつ料理が好きな方で、結婚してから初めて家事に手をつけた方ではない。
「皿洗い」は多くの自炊をする人間にとっても、”面倒なこと”という認識を抱いているようで、ぼくも多少なりともその感覚を共有する一人である。
「自炊に関する調査」によると、どうやら未婚の男女20、30代の「20%」が「片付けが面倒」だから自炊をしないらしい。
https://www.research-plus.net/html/investigation/report/index133.html
ありがた迷惑
母は子供の頃から父親(ぼくの祖父)から
「女は家事が出来なきゃダメだ」
と、毎日料理をさせられたという。
(そういう時代があったのだ)
結婚してからヘルニアで退職するまでの15年ほどは共働きだったが、家庭の食卓はいつも母の料理なのが当たり前だったし、ぼくが料理が好きなのはその影響が多少なりともあったりする。
ぼくの父はかなりの掃除好きで料理や洗濯裁縫など以外の家事をやっているが、たまに気まぐれで簡単な料理をすることがある。
その度に母は、
「台所がめちゃくちゃになるので迷惑」
と不満がっている。
夫の家事の不満について調べてみると、
「洗い物をやり直さないといけない」
「後片付けをしない」
がとても多いようである。
https://kurashinista.jp/column/detail/3057
集約すると、
「料理をする前の綺麗な状態に出来ない、もしくはする気がないし習慣もない」
というのが問題のようだ。
「皿洗い」について細分化、言語化してみる。
新型コロナに伴う緊急事態宣言発令下の中、こんなツイートを目にした。
#StayHome でコロナ離婚の危機になりそうだったので、家事分担するべく洗い出そうと協議したら妻の解像度が4kなみに細かくてビビっている・・・
— カタオカ⌘ベランダゴーヤFPV (@peterminced) 2020年4月20日
エクセル190行もアルヨ pic.twitter.com/ZZLm3rGEwr
夫(ツイート主)は「ご飯片付け」の1行で済ませていたものが、この「ご飯片付け」の1行に対して妻の方は9項目のタスクを記載しているのが印象的だった。
エンジニアに例えるならばさしずめ、「下流を経験せずに上流に行ってしまったためにろくな見積もりが出来ないPM」のようだ。
こうした夫の家事に対する不満が噴出するのは何故だろうか、という話はここではしない。
「毎回説明するのが面倒だから」
「たまの家事で口出しして気分を損ねてやる気を削ぐのもあれなので言わない」
など、色々あるのかもしれない。
今回ぼくは普段家事をしない人向けに、「皿洗い」を細分化して言語化することを試みてみる。
ぼく自身、普段の自炊の中で「皿洗い」こそが一番重要な工程だと思っている。
皿洗いって何が重要なの?
皿洗いをきちんすることは、
「次の自炊の準備を楽にすること」
である。
上記の「自炊に関する調査」によれば、28%の人が「準備が面倒だから」自炊をしないようである。
皿洗いをほったらかしにすると、「自炊の準備」に「前の自炊の後片付け」が追加されてしまい、一気に自炊に対するモチベーションが削がれてしまう。
だからこそよく自炊する人は、料理をする最中に不必要になった器具をテキパキ洗ってたりする。
次の自炊に繋げるためだ。
自炊の細分化
本題である。
まずはご飯を食べ終わった瞬間から。
手に油が付いてると洗っても見えない油が食器に付くので、手が汚れてる人はまず手を洗いましょうね。
①食べ終わった食器、調理器具はすぐに「冷やす」
フライパンにつく油汚れは油なので、意外と時間がたっても落ちやすい。(焦げは例外)
問題は「茶碗についた米」である。
ご飯粒を残さないのは当たり前としても、僅かに付着した米は乾燥が早くて油分が無い分洗っても取りにくくなってしまう。
食べ終わった瞬間、家事は始まるのである。
②シンクに器具を冷やす時に以下の点に注意すること。
・「油分の付いた食器」「油分の付いていない食器」を分ける
・食器を重ねる際は「油分の付いた食器」を下に、「油分のついていない食器」を上にする。
そもそも洗剤とは何か。
親油基と親水基をもつ「界面活性剤」の性質によってい、油分のついた食器の油分を洗い流すために用いるものである。
野菜を切っただけのまな板は水洗いだけで問題がない。
油まみれのフライパンや食器と、油分の少ないまな板や食器を合わせてしまうと、余計に洗剤が必要になってしまい、洗っても油分が残ってしまう原因となる。
さらに油分のついた食器を最初に洗ってしまうと、スポンジに付着した油分が後に洗う食器に残ってしまうことがある。
故に油分のついていない食器から洗えるように、それらは上にすべきである。
③油分の付いていない食器から洗うこと、その際に流れる水を「油分の付いた食器」に向けて流れるようにする。
スポンジで拭いて流れた水には洗剤の泡が混ざっている。
その水を下層の油分の付いた食器に流すことで、余分な油分を一緒に流してしまうことができる。
これをしないと、油分が多すぎて一回スポンジ拭いただけでは油が取れないといったことが生じやすくなる。
④油分の付いた食器を洗う際は必ず「油汚れ」をスポンジを使わずに手で洗い流してからスポンジで洗うこと。
フライパンや食器には、取りきれなかった残りカスが付着することが多々ある。
特にカレーを作った後の鍋などがそうである。
こういった類は、まず手でしっかり汚れを取って水で流し、油分のみが付着した状態にすることである。
この汚れが付いたままスポンジを使うと、スポンジに残りカスが付着したままとなり、以降このスポンジで洗った食器は油が取りきれていないままとなってしまう。
特にこの工程は重要だと思っている。
⑤シンクが詰まり始めたらすぐにネットを取り替えること。
言わずもがな。
まとめ
ぼく自身、皿洗いは「面倒だな」とも少しは思う。
ただ皿洗いをしないと料理を楽しめないのも事実。
まだまだ食器洗い機では対応できない食器や調理器具も多い。
皿洗いを上手くすることが自炊を継続するための基本スキルであり、鍵だと考える。